ニュースレター No.12 (2012年02月20日発行) (1) (2) (3) (4) (5)
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内に外に、広げよう活動の輪を
理事長 森元美代治
▲昨年6月22日、ハンセン病被害者の名誉回復と追悼のために石碑が、
厚生省玄関前に建てられた。除幕式に参加した森元夫妻と國本美代子さん(中央)

一瞬のうちにすべてを失った東日本大震災と福島原発事故の被害者の皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、復旧・復興しますように念じております。

さて、2004年8月に産声を上げたIDEAジャパンも早や7年が経過しました。暗中模索の中でスタートし、急がず、背伸びせず、牛歩の如く歩んできましたが、現在会員は支援者を含め250名を超え、法人としての形も整ってきました。国内では講演、ハンセン病資料館案内、多磨全生園フィールドワーク、写真展等の広報活動を通じての啓発、国外に向けてはハンセン病の子供たちへの奨学金や生活改善資金をインド、ネパール、フィリピン、タイ、中国の5カ国に実施することができました。ネパールとフィリピンの女子学生は看護師の資格を取るために学んでいます。また本年度よりインドネシア大学の保健衛生学科に合格したIDEAインドネシアの女子学生に奨学金を助成することになりました。これらの資金は、会員の皆様の貴い会費や支援者の寄付金によるもので、心より感謝しています。

さて、らい予防法廃止から15年、ハンセン病裁判勝訴判決から10年になり、ハンセン病問題に関して無知、無関心だった多くの国民に理解されつつあると思いますが、まだまだ未解決の問題が山積しているのが現状です。13の国立療養所の在園者2400人は大半が家族との縁が絶たれたままであり、死んでも故郷のお墓に入れてもらえません。さらに深刻度を増しているのが、入所者減による医師、看護師、介護師不足の問題です。どこの療養所でも厳しくなる一方の生活環境に不安を感じ、早く死にたい、最後の一人になりたくないと思っているお年寄りが多く、最近自死するケースも少なくありません。こうした事態を防ぐために療養所を医療機関として存続、維持発展させるには広く地域社会に開放し、ハンセン病のみならず他の疾病や福祉施設として有効利用させるべく、2009年に「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」(ハンセン病基本法)が施行されました。手始めに多磨全生園や菊池恵楓園(熊本)には保育所の設置が認可され、その事業主まで決まっているのに、開園に至るまでの作業は進展しているようには見えません。

他方、世界のハンセン病事情はWHO(世界保健機関)の報告によると、2010年に世界全体で新患数が22万8千余となっています。ワースト3はインド12万6千余、ブラジル3万4千余、インドネシア1万7千余、他にコンゴ民主共和国、エチオピアなどアフリカ諸国、バングラデシュ、ネパール、ミャンマー、フィリピンなど東南アジアの国々に多くの新患数が登録されています。「貧困病」ともいわれるハンセン病の新患は、わが国や欧米諸国には見つかっていませんが、世界的にハンセン病が終息したといえる段階はまだ先のようです。ハンセン病当事者、あるいは患者・快復者を親にもつ子供の就学率は高くありません。IDEAジャパンの活動の輪は国内外に広げなければなりません。皆様の更なるご支援を賜りたいと思います。

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