ニュースレター No.10 (2011年02月20日発行) (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
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ソ ウ ル 宣 言

2010年11月24日から26日まで、韓国のソウルで開催された“2010国際ハンセン病フォーラム”の参加者は、ハンセン病快復者とその家族が、これまでの歴史の中で直面してきた社会的不公正および虐待について共通に理解し、以下の宣言と提言をします。

◆2010年、国連人権委員会は、ハンセン病快復者とその家族に対する差別を禁止する原則と指針を採択しました。

◆世界人権宣言は、世界中で自由、正義、および平和の根拠となるものとして、「固有の尊厳」と「すべての人類の、平等で譲渡できない権利」を認めています。

◆ハンセン病は治癒可能です。しかし、ハンセン病快復者は社会的汚名を被り、社会から快復者を強制的に隔離してきた従来の保健医療システムによって、基本的な権利を否定され続けています。

◆世界中のハンセン病快復者とその家族は、無視され、圧迫され、権利を侵害されてきました。その権利には、移動、雇用、結婚、出産、および自分の家に居る自由に関連した権利を含んでいました。

◆社会は、差別を根絶することにおいて怠慢であり、またハンセン病快復者に対する不公平な社会的、制度的な差別観が引き起こす貧困と隔離への取り組みに消極的です。

よって、私たち“2010国際ハンセン病フォーラム”の参加者は、ハンセン病快復者が、私たち社会の他のメンバーと同等な基本的権利、尊厳、および機会を享受することを保障する、地域的、国際的な対策を効果的に進展させるために、共同で努力することに同意し、以下の提言の実現をめざして努力することを決意しました。

1.人びとは、ハンセン病に罹患したというだけで、レッテルを貼られるべきではありません。まず第一に、いつも自分自身の名前で呼ばれるべきです。この病気に罹った人には、「ハンセン病快復者/(Hansen’s disease(ハンセン病)の影響を受けた人、あるいはLeprosy(ハンセン病の別称)の影響を受けた人)」という用語が使われるべきです。しかし、それは一時的に使われるべきです。

2.ハンセン病の歴史上、ハンセン病快復者が体験したことは、世界中の国々で記録されるべきであり、ハンセン病快復者が歴史的に正当な立場にいるということを確実にするために、情報交換すべきです。

3.ハンセン病快復者とその家族の移動、結婚、出産、雇用に対する社会的差別、あるいは法的制限規定を取り除くべきです。さらに、すべての政府は、ハンセン病快復者とその家族に対する、どのような形の差別も禁止すべきです。

4.ハンセン病快復者、とりわけより古い世代の快復者が住んでいた住居を、彼らの意志に反して移動すべきではありません。特に政府は、政府が所有していた施設に、ハンセン病だという理由で長い間住まわされ、「わが家」に作り上げた快復者の居住権を保障すべきです。

5.この病気だと宣告されたとき、治療の間、治癒したときには、彼らが尊厳を持って、有意義な人生を送れることを保障するために、精神的な支援とカウンセリングの必要性について、さらに多くの注意が払わなければなりません。

6.医療機関は、ハンセン病快復者の治療を拒否すべきではありません。彼らは、他のあらゆる病気の患者と同様に扱われるべきです。

7.すべての政府は、社会や国家によって、殺され、強制的に隔離され、移転させられ、結婚を禁止され、断種され、妊娠中絶させられたハンセン病快復者とその家族の名誉を回復するために、謝罪し、相応な補償をし、すべて必要なことをすべきです。

8.すべての政府は、排斥され、自活するための平等な経済的機会を否定されたハンセン病快復者を支援するために、先を見据えた努力をすべきです。職業訓練、更正プログラム、支援、カウンセリング、および職業紹介を通して、彼らの発展可能性を最大限に引き出すことにより、経済的自立が達成できるように、社会は快復者を支援すべきです。

9.公衆の自覚を高め、啓発することは、ハンセン病快復者に対する差別を根絶することへの前提条件です。したがって、すべての政府は、学校、医療関係者、および厚生省職員のために教育プログラムを開発し、それを実行している間に、ハンセン病とハンセン病快復者に関する的確な情報を提供すべきです。さらに政府は、そのような差別の再発を防ぎ、学習の成果が次世代に確実に引き継がれるために、ハンセン病快復者に対する差別の歴史的な結果を認識し、それを記録に残さなければなりません。

10.政府と専門家のグループは、ハンセン病に関する政策を開発し、実施する過程に、ハンセン病快復者を対等な相手として入れるべきです。

11.ハンセン病快復者は、社会的偏見と制度上の差別を根絶し、尊厳のある生産的な生活を送れるよう、自分たちの声を社会と国に聞かせるために活発に働くべきです。そのために社会と国は、ハンセン病快復者の地域的、国際的なグループとの共同作業で活発に働くべきです。

12.人類の統一のために、偏見・差別をする、すべての組織を取り除くべきです。ハンセン病快復者が直面している状況は、特定のグループのこととして限定されるのでなく、社会的不公正と虐待に直面している多くの人々が共感する、普遍的な問題を象徴していると認識すべきです。

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